熊本地方裁判所 昭和52年(わ)68号 判決 1977年6月20日
本籍と住居
熊本県葦北郡芦北町大字計石一、七四四番地
会社役員
濱田治男
昭和八年一二月三〇日生
主文
被告人を懲役一〇月及び罰金二、〇〇〇万円に処する。
右罰金を完納することができないときは、金五万円を一日に換算した期間被告人を労役場に留置する。
この裁判の確定した日から二年間右懲役刑の執行を猶予する。
理由
(罪となるべき事実)
被告人は、熊本県葦北郡芦北町において、鮮魚卸売及び水産食品加工販売業を営んでいたものであるが、自己の所得税を免れようと企て、鮮魚の売上の一部を除外して、架空人名義あるいは無記名の定期預金、普通預金を設定するなどして自己の所得を秘匿したうえ
第一 昭和四八年分の実際の総所得金額は七、六八三万八、一九八円で、これに対する所得税額は四、四五五万八、三〇〇円であるにもかかわらず、昭和四九年三月一五日、同県八代市花園町一六番二号所在の八代税務署において、同税務署長に対し、自己の総所得金額は一、一五三万六、八八九円で、これに対する所得税額は三五一万四、〇〇〇円である旨の虚偽の所得税確定申告書を提出し、もつて、不正の方法により、昭和四八年分の正規の所得税額四、四五五万八、三〇〇円と右申告所得税額との差額四、一〇四万四、三〇〇円を免れ
第二 昭和四九年分の実際の総所得金額は一億一、二九六万九、〇三五円で、これに対する所得税額は六、九七九万四、二〇〇円であるにもかかわらず、昭和五〇年三月一五日、前記八代税務署において、同税務署長に対し、自己の総所得金額は一、二九四万八、七七八円で、これに対する所得税額は三三四万三、二〇〇円である旨の虚偽の所得税確定申告書を提出し、もつて、不正の方法により昭和四九年分の正規の所得税額六、九七九万四、二〇〇円と右申告所得税額との差額六、六四五万一、〇〇〇円を免れ
たものである。
なお、所得の内容及び税額の計算は別紙のとおりである。
(証拠の標目)
一、被告人の当公判廷における供述
一、被告人の検察官に対する供述調書(二通)
一、被告人の大蔵事務官に対する質問てん末書(二一通)
一、被告人作成の上申書(二通)
一、大蔵事務官作成の脱税額計算書
一、松本栄男、橋本良夫、谷口時義、道園幸雄、内田哲(二通)、佐藤国男、錦戸光久、本間和三郎、宮本勝彌、島田勝義、福島勝二、田中鉄与、吉川鶴松、末富寿恵の大蔵事務官に対する各質問てん末書
一、大蔵事務官作成の調査事績書(三六通)
一、大蔵事務官作成の検査てん末書(一〇通)
一、大蔵事務官作成の現金預金有価証券等現在高検査てん末書(二通)
一、株式会社富士銀行熊本支店営業課長平田稔郎、熊本中央信用金庫佐敷支店長松本栄男、下関市魚市場株式会社経理部係員山口剛、第一水産株式会社経理課係員佐々木豊、株式会社森部商店代表取締役高阪安一、株式会社丸八経理係員鷲見丈夫、鹿児島中央魚類株式会社係員光田法之、株式会社山一物産社長立元雄次平山郡造、中央魚類株式会社千住支社係員本間和三郎、中里恭久、大海水産株式会社係員竹田勝喜、神戸淡水魚販売株式会社係員山田栄子、大洋冷凍株式会社熊本営業所総務主任杉田逸夫、日豊食品工業株式会社総務部次長後藤純夫、八代冷凍株式会社係員皆越都美子、阿久根市冷蔵庫係員有田健三(二通)、中南工業株式会社係員長谷場達夫、株式会社熊本コクヨ業務課係員長曽我部利美、有限会社三吉屋家具店専務取締役正木正八郎、水光商事株式会社係員徳富邦雄、芦北町役場係員入口政志、内外産業株式会社代表取締役桜井喜久吉、太陽電気株式会社係員瀬戸口正人、九州低温工業株式会社経理課係員勝力俊安、川崎重工業株式会社経理調査課長高重猛喜、平湯湧一、平田忠蔵、熊本トヨタ自動車株式会社経理部係員宗広、熊本ダイハツ販売株式会社経理課係員植田敏彦、トヨタオート熊本株式会社経理課係員中村光宏、九州ニチユフオークリフト株式会社常務取締役渡辺雄一、松本建設株式会社経理係員垣田照子、竹本務、信和工業有限会社係員岸川志津恵、西本信一、有限会社西橋組係員西橋セツ子、芦北漁業協同組合参事島本恵(二通)、司法書士田上久雄、有限会社大漉商店係員和田富美雄、小橋紙器株式会社八代工場係員赤星淳子、有限会社富士化学工業代表取締役大野鉄行、豊世運輸有限会社係員清田桂子、有限会社平江商店代表取締役平江保喜、浜崎邦子、土肥大丈夫、有限会社白坂石油佐敷給油所代表取締役白坂智、株式会社岩本木材店係員井上正、荒瀬伝、株式会社徳住本店係員植田寛、芦北漁業協同組合湯浦支所係員生島富義、有限会社七洋物産代表取締役米沢武義、有限会社若山商店代表取締役若山衛、上野通昌、今村弘義、道園幸雄、楠本力作成の各上申書
一、第一勧業銀行熊本支店次長三村英一郎作成の確認書
一、熊本中央信用金庫佐敷支店長松本栄男(四通)、株式会社肥後銀行佐敷支店長紫垣健(三通)、長崎市戸石漁業協同組合係員宮口春夫、熊本中央信用金庫八代支店次長宮田義明、同信用金庫通町支店長坂本英之、株式会社肥後銀行佐敷支店支店長代理高木鉄雄(二通)、谷川物産株式会社総務部次長堀貞彰、芦北町長吉田富士夫、株式会社肥後銀行佐敷支店貸付係員堀尾靖、芦北町社会福祉協議会吉田富士夫、鹿児島銀行出水支店事務長柳原晃作成の各証明書
一、国民金融公庫八代支店長、株式会社富士銀行熊本支店長松岡宏、株式会社住友銀行熊本支店長鎌内伸元作成の各捜査関係事項照会回答書
一、電話連絡せん(七通)
一、押収してある登記申請書二部(昭和五二年押第五一号の1、2)、借用証書写九枚(同押号の3ないし11)、ノート一冊(同押号の12)、借用証書三枚(同押号の13ないし15)、売買契約書二綴(同押号の16、17)、割賦販売買契約書一部(同押号の18)、買掛帳四綴(同押号の19、22ないし24)、売掛帳二綴(同押号の20、21)、現金出納帳一綴(同押号の25)、元帳一冊(同押号の26)、印鑑六一個(同押号の27、45ないし54、64ないし69、90ないし120、124ないし136)、領収証綴一四綴(同押号の28ないし39、83、148)、普通預金通帳一二冊(同押号の40ないし42、159)、給料支給明細綴一綴(同押号の43)、給料計算書類綴一綴(同押号の44)、定期預金利息計算書三一枚(同押号の55ないし63、70ないし82、137ないし145)、融資金計算書一綴(同押号の84)、登記済権利証五通(同押号の85ないし89)、喪失届一枚(同押号の121)、照会票一枚(同押号の122)、普通預金元帳写一綴(同押号の123)、普通預金元帳二綴(同押号の146、147)、決算書類綴一綴(同押号の149)、所得調査カード一綴(同押号の150)、青色申告者書類綴一綴(同押号の151)、所得税確定申告書三枚(同押号の152、155、157)、所得税修正申告書一枚(同押号の153)、所得税加算税賦課決定決議書一枚(同押号の154)、予定納税額通知書控二枚(同押号の156、158)
(法令の適用)
判示行為、刑の併科及び罰金刑の多額につき
所得税法二三八条一項、二項
併合罪の処理
右は刑法四五条前段の併合罪なので、懲役刑については同法四七条本文、一〇条により犯情の重い判示第二の罪の刑に法定の加重、罰金刑については同法四八条二項により判示各罪の罰金額を合算
労役場留置
刑法一八条
刑の執行猶予
懲役刑につき刑法二五条一項
(検察官千葉倬男出席)
よつて主文のとおり判決する。
(裁判官 石田實秀)
修正貸借対照表
自昭和48年1月1日
至昭和48年12月31日
修正貸借対照表
自昭和49年1月1日
至昭和49年12月31日
脱税額計算書
自昭和48年1月1日
至昭和48年12月31日
税額の計算
脱税額計算書
自昭和49年1月1日
至昭和49年12月31日
税額の計算